もはや国民的口癖「逆に」の研究その1

「逆に」という言葉をgoo国語辞書で検索したら何も出てきませんでした。当たり前すぎるからでしょうか。

でも、これほど間違って使われている言葉も珍しいです。僕はそんな「逆に」について研究したくなったんです。

今回は間違った「逆に」の使い方例、さらに、なぜこれほど多用されるのかについて僕の意見を述べさせてください。

目次

間違った「逆に」の使い方

二項対立じゃない

カレーにリンゴ入れよっか。

逆にハチミツじゃない?

リンゴの反対はハチミツじゃありません。選択肢が多岐にわたる事柄において「逆に」を使うべきではありません。

いきなりの逆に

逆に寿司食いにいかない?

嫌です。

「逆に」はリアクションで使う言葉です。暗黙の何かがあるのかもしれませんが、脈絡なしでいきなり使うのはダメでしょう。

過剰な否定表現

俺、この女優さん好きだわぁ。

そう?逆に俺は嫌いだけど。

意味合いとしては間違ってないのかもしれません。でも僕が気になるのは「逆に」に含まれる過剰な否定表現です。確固たる意志があれば問題ないのですが、思想信条や趣味嗜好のことをコメントするときに軽々に使うと相手との関係性が悪くなる可能性があります。

俺のターン宣言

君はなんでそんなことをやったのかね?本当にバカなことをしてくれたもんだよ。

すみません、逆に私の方からお話させていただきたいんですが…。

今から自分が話しますというターン宣言。特に言わなくていいでしょう。

重複

今度はベルギー!逆にカウンター!

これをNHKのアナウンサーが叫んでいたときには愕然としました。カウンターという言葉自体に反撃・逆襲という意味が込められているのだから、わざわざ「逆に」をつけなくてもよいと思います。やっぱり「逆に」って言いたいんだろうな。

別の言い方をすれば

明日お休みもらってもいいですか?

それは逆に言うと俺に休むなってこと?

この場合「別の言い方をすれば」っていう意味に近い。というか、そもそもこんなこと言う必要がない。相手が言ったことを別の表現に言い直すとき、「逆に」とつけて自分のオリジナリティを強調する。こざかしいですよ。

言い忘れ

すみません。この資料を確認してもらえますか?

いいよ。そうだね、ここはこういう風に修正したほうがいいんじゃないかな、、、逆に!

最後に「逆に」と念押ししてくる人がいます。まるで言い忘れた「逆に」を回収するかのように。口さみしくて仕方がないのでしょうか。

これは前述のすべての例に言えるのですが「逆に」を削っても会話は十分に成立します。「逆に」を使うことによって変なニュアンスが加わって、伝えたいことがぼやけている気さえします。

なぜ「逆に」が多用されるのか?

利用シーンの拡大

「逆に」には本来、ある物事の反対のことを表すときに使います。しかし、「逆に」には後述するような使いたくなる魔力があるため、利用シーンが拡大されている傾向があります。

「逆に」をつけて強調することによって、「あなたとは違うんです」「俺は逆をついている(かっこいい)」など、対立構図を強調して相手を煽るように使っているシーンが見受けられます。

「一方で」「別の言い方をすれば」など、もっと最適な言葉に言い換えるべきシーンが多々あると思います。

本能的な否定欲求

「逆に」は端的に相手を否定できる便利な言葉だと思います。偉そうにごちゃごちゃ言ってるやつに「それ、逆だろ」と言い放てば形勢逆転。なんせ逆なんですから。見当はずれなんですから。

具体的に何が逆なのか意味不明でも、一瞬で相手を黙らせることできます。あとから「それ何が逆なんですか?」と追及されることも少ないでしょう。僕はするけどね。

濁音の魔力

「ぎゃくに(gya-kuni)」って妙に発音したくなりませんか?疾走感があるんですよ。「ぎゃ」でパワフルに加速して「くに」で流れるようにフィニッシュする。

「ポッキー」「パピコ」ようのに半濁音が入っている商品はヒットするという説がありますが、僕は濁音に関しても同様なんじゃないかと思っています。

「ギャリック砲」が流行ったのもこの発音のおかげでしょう。僕の周辺では「かめはめ波」よりマネする人が多かったです。

終わりに

僕の元上司だった人は、通り魔ならぬ「逆に魔」でした。「逆に」を言うノルマがあるんじゃないかってほど、毎日連呼してましたよ。

とりあえず今回は現状分析って感じです。次回は「逆に」まみれの世界でどう生きていけばよいのかを考察してみたいと思います。

もはや国民的口癖「逆に」の研究その2
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